WD5000AADS-00S9B0はどうなっているのか

−初めての5,000rpm推定品−
作成
2009/07/20 Mon
公開
2009/07/24 Fri
更新
2011/02/23 Wed

 「スピンドルモータの駆動電圧波形とモータの極数を測定してディスク回転速度を推定する方法」と「ディスクの回転に伴う振動を解析することによりディスク回転速度を推定する方法」の2つでWD5000AADS-00S9B0のディスク回転速度を推定しました。

 今回は特に、「ディスクの回転に伴う振動を解析することによりディスク回転速度を推定する方法」を改良して、コンタクトマイクを用意するだけで簡単に測定して推定できる方法を提案しました。これで、多くの人に検証してもらえる事を期待します。

 当公開サイトに掲載したWD Caviari Greenシリーズのディスク回転速度が固定(一定)と考えるのが妥当とした、一連の記事に対して投げかけられた疑問や批評に対する回答をまとめて「WD Caviar Greenのディスク回転速度測定についてのまとめ」に記載しています。(2011/02/23 Wed追記)


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◎目次


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1.目的

 以前「WDC Caviar GPのディスク回転速度どうなっているのか」で、WD10EACS-00ZJB0のディスクの回転速度をなるべく直接的な方法で計測してみました。その後、その方法を応用して、WD10EACS-00D6B0WD10EADS-00L5B1については、回転速度を5400rpmと推定しています。

 また、「HDDの振動解析による回転速度の特定方法」でHDDを分解せずに回転速度を推定する方法を提案し、いくつかのHDDを測定しました。「HDDの振動解析による回転速度の特定方法」で記述した方法ではWD1500ADFDは約10,000rpm、WD20EADS-00R6B0は約5,400rpmと推定できましたがST3500418ASは回転速度を推定できませんでした。

 ここでは、これらの方法を応用して、WD5000AADS-00S9B0の回転速度を中心に解析をおこないました。WD5000AADS-00S9B0はWD Caviar Green初の500Gbyte/プラッタの1プラッタ機であろうと想像されるHDDです。

 WD Caviar Greenシリーズは、出荷時に様々な回転速度で固定して出荷されているようです。しかし、実際にはその回転速度の報告はほとんどありません。個人で検証できる数は限られています。多くの人が測定できる方法があればたくさんの人が検証でます。検証してもらえる人が増えれば、回転速度の報告が増える可能性があります。知られていない回転速度が出荷されているのが分かるかも知れません。また、疑義があったときに確かめる道具が増えます。

 今回、安価なコンタクトマイクを用意すれば、後はPCのサウンド機能とフリーウエアを用いてそれを簡単な計算で回転速度を推定する方法を提案します。

 以下ではその測定方法と結果について解説します。


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2.結論


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3.測定方法

3−1.振動解析による方法

3−1−1.測定の考え方

 「HDDの振動解析による回転速度の特定方法」で記述したことの繰り返しになりますが、HDDはディスク(プラッタ)を高速回転させるため、わずかな狂いが振動になって現れます。振動の原因になる狂いの主要因は、偏心や重量バランスのわずかな狂いです。

 この偏心や重量バランスのわずかな狂いによる振動は、1回転に1回揺れる振動が一番効率が良くなりやすくなり、これが主振動になるのが自然です。この振動は、以下の周波数(主振動周波数)になるはずです。

f[Hz]=N[rpm]/60[rpm/rps]
N[rpm]
回転速度[回転/分]
60[rpm/rps]
単位変換[(回転/分)/(回転/秒)]
f[Hz]
主振動周波数[Hz=1/秒]
[rps]
[revolutions per scond] = [回転/秒]
[rpm]
[revolutions per minute] = [回転/分]

 主要なHDDの回転速度に当てはめると以下のようになります。人に聞こえる低音になります。

表3-1 回転速度と主要振動数の関係
回転速度[rpm]主振動周波数[Hz]
10,000 166.67
7,200 120.00
5,900 98.33
5,400 90.00
5,000 83.33

 逆に、主振動周波数が測定できれば、回転速度が以下の式から分かります。

N[rpm]=60[rpm/rps]*f[Hz]

 HDDは大きな振動を発生させて周囲に影響を与えないようになっています。HDDの振動は聞こえる帯域の音であるうえ、少なからずが人の傍で使われるのでうるさくならない程度に振動を低く抑えあります。このため、HDDの振動は周囲の振動などに紛れやすくなります。これら周辺の影響を除去しないと、HDDの主振動周波数は特定できません。

 これらの影響の除去が実際に測定する時の重要な点になります。そこで、コンタクトマイクとUSBのサウンドボックスを使ってみました。

 コンタクトマイクは「HDDの振動解析による回転速度の特定方法」の時と異なり、クリップタイプでなく吸盤タイプのマイクを用意しました。これは、振動の拾いやすさは場所によって違うので、良いところを探せるようにするためです。

吸盤型貼り付け型コンタクトマイクSMT-10

 セイコーエスヤードの安価な楽器のチューナ用コンタクトマイクSTM-10です。ヨドバシカメラマルチメディア梅田店楽器売り場で購入しました。このマイクをPCの内部ノイズの影響が小さいUSBサウンドボックスのマイク端子に入力して振動を拾うことにしました。

Sound Blaster X-Fi Surround 5.1マイク端子

 今回は入手性のよいUSBサウンドボックスとして、Sound Blaster X-Fi Surround 5.1を使いました。

Sound Blaster X-Fi Surround 5.1箱 Sound Blaster X-Fi Surround 5.1動作状況

 これをefuさん作の高速リアルタイム スペクトラムアナライザー「WaveSpectra 1.40」にてFFTをかけ周波数成分(スペクトラム)を表示してもらうことにしました。

WaveSpectra初期画面

 インストールは非常に簡単で、ZIPファイルを適当なディレクトリの下に全て解凍して、WS.EXEを実行するだけです。WS.EXEのショートカットを作っておくと便利に使えます。

 いつものデジタルオシロスコープ(IWATSU DS-8824)を使った方法では用意してもらいにくいと思います。今回の以上の組み合わせであれば、多くの人に用意してもらいやすいと思います。

3−1−2.動作した状態での測定

 以下の通り測定したのはWD5000AADS-00S9B0です。2009/07/19 Sunにソフマップ1号店で入手しました。

WD5000AADS-00S9B0全景 WD5000AADS-00S9B0ラベルクローズアップ

 用意したコンタクトマイクSTM-10は、楽器のチューナー用なので、接続端子がこの分野でよく使われる標準プラグです。一方、Sound Blaster X-Fi Surround 5.1はマイク端子にミニプラグを前提としていますので、変換アダプタをかませて接続しました。

コンタクトマイクSTM-10と変換アダプタ

 コンタクトマイクを振動をが良く拾えるところをさがして取り付ける必要があります。

コンタクトマイク取り付け裏面 コンタクトマイク取り付け表面裏面

 余分な振動を拾わずディスクの振動を拾いやすいところをさがした結果、HDD側面(上の写真では上面)にセロテープで留めています。セロテープの押しつけ加減も振動に対する感度に影響します。

 この状態でWD5000AADS-00S9B0を動作させWaveSpectraで処理させます。まずはWaveSpectraの右上のスパナマークのところを押して設定をします。以下のように設定しています。

設定 Wave 設定 Spectrum 設定 FFT 設定 再生/録音 設定 その他

 設定−再生/録音において192,000s/s 32bitに設定していますが、 Sound Blaster X-Fi Surround 5.1は96,000s/s 24bitの能力しか有りません。実際の処理能力は96,000s/s 24bitで限界になります。192,000s/s 32bitは内部処理やファイルフォーマット上の形式になります。

 設定−FFTにおいて、窓関数として一般的なHanningを指定しています。ハニング窓を使用すると、振幅誤差が出ることがありますが相対的な大きさが問題なだけなので、これを選択しています。

 一番初めの画面(主画面)の左上赤丸の「サウンドデバイスからの入力/録音」ボタンを押すと周波数解析が始まります。

解析結果

 緑線はリアルタイムの解析結果、紫線は平均値です。最大値のところは自動計測されて、左側上下中央から少し上の「Max」の枠の中に表示されます。82.0Hzと計測されいます。

 この82Hzがディスク(プラッタ)の回転による振動になります。その少し右に、120Hzのノイズのピークが見えていますが、「HDDの振動解析による回転速度の特定方法」の時と異なり良く抑制されておりディスク(プラッタ)の回転による振動と区別がつきます。

 ただしこのような綺麗な解析結果を得るには、いくつかのコンタクトマイクをつける場所を試して良い場所を探す工夫は必要になります。

3−1−3.回転速度の計算

 3−1−2の結果を使って、3−1−1の式で回転速度を計算します。

f[Hz]
振動周波数 82[Hz=1/秒]
N[rpm] = 60[rpm/rps]*82[Hz] = 4920rpm
N[rpm]
回転速度 4,920[回転/分]

 上記のように、約5,000rpmと言うことになります。


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3−2.駆動電圧波形と極数を計測する方法

3−2−1.測定の考え方

 「WDC Caviar GPのディスク回転速度どうなっているのか」で記述したことの繰り返しになりますがHDDのスピンドルモータはDCブラシレスモータであることがほとんどです。モータの極数と駆動周波数を測れば回転速度が分かります。

N[rpm]=60[rpm/rps]*2f[Hz]/p[1/r]
N[rpm]
回転速度[回転/分]
60[rpm/rps]
単位変換[(回転/分)/(回転/秒)]
f[Hz]
駆動周波数[Hz=1/秒]
p
極数[1/回転]
[r]
[revolutions] = [回転]
[rps]
[revolutions per scond] = [回転/秒]
[rpm]
[revolutions per minute] = [回転/分]

 駆動周波数は動作中にモータのコイルに供給される電圧波形を測定すれば判明します。回転速度が変わるときには駆動周波数が変わるので、負荷をかけながら駆動周波数を観測すれば可変かどうかも判明します。

 極数は軸の回りにある磁極(磁石)の数です。コイルに直流電流を流せば磁極(磁石)の一方と引き合います。4極(N極2つとS極2つ)のモータであれば、磁石とコイルは2回引き合います。このため分解してスピンドルモータの軸を手で回せる状態にした後、コイルにに一定電流を流した状態で、1回転の中で引っかかりのある回数の2倍が極数ということになります。

 ブラシレスDCモータの場合、その極数は4極か8極が多くなりますので、引っかかりのある数は手で十分数えられる回数になるはずです。

参考文献

3−2−2.動作した状態での測定

 eSATA接続した裸族のお立ち台eSATAプラス(Century CROSEU2)にHDDを取り付けてモータの駆動周波数をディジタルオシロ(IWATSU DS-8824)で調べてみました。

Century CROSEU2への取り付け状況

 スピンドルモータの4つある端子の1つにプローブを当てて駆動電圧波形を測定します。まずは立ち上がり直後の無負荷の時の駆動電圧波形です。

333Hzと測定されている

 エッジにカーソルが合わせてあります。いつもと逆エッジに合わせています。カーソルからカーソルまでの時間(Δt)の逆数である1/Δtが駆動周波数になります。測定結果として約333Hzで駆動されています。画像の下の方にある f= 0 Hz は駆動周波数の測定結果ではありません。この333Hzは今までの5,400rpmのHDD解析結果と異なった値になっています。

 次は、CrystalDiskMark 2.2でテストサイズ1,000MBでシーケンシャルアクセスしているときの波形です。

シーケンシャルアクセス時に測定

 これも、エッジからエッジまでを測ると約333Hzとなります。この周波数で駆動されているようです。ここでは、f=46.367kHzと出ていますが、これは各駆動期間(黒い部分の中)のPWMの周波数が計測されているようです。

 次は、ランダムアクセス(512KB)しているときの波形です。

ランダムアクセス時に測定

 これも、エッジからエッジまでを測ると約333Hz335Hzになります。先ほどとほぼ同じ周波数で駆動されているようです。やはり、今までの5,400Hzの物と異なっています。これは、回転速度が遅いのが濃厚です。

 以上の結果、HDDにアクセスの負荷をかけてもかけなくとも333Hz〜335程度で駆動されていることが分かります。

3−2−3.分解しての測定

 駆動周波数が分かりましたので、極数が分かれば3−2−1.で述べた式で回転速度が分かります。同一シリーズのWDC Caviar GPは8極のモータばかりなので、今回も8極が濃厚です。

 分解せずとも8極が濃厚なのであればこのHDDは、完動品でもったいないとは思いました。しかし、3−1−3の結果より、今までと違う回転数の可能性高い可能性があります。また、購入時の外箱ラベルの表示とも異なる可能性があります。はっきりさせるため分解することにしました。

ネジ位置

 ラベルの左下の裏にもネジが一つあります。矢印の位置がネジの位置です。プラッタ数が少ないだけあって、ラベル面の防振は4プラッタ品ほど重装備ではない印象です。

 いつもの通りトルクス(ヘックスローブ)と呼ばれるネジです。トルクスは、専用のねじ回しで扱います。

トルクスドライバーセット ドライバセットの先端形状表

 ネジを外します。

ねじを全て取り除いたところ

 ラベルの裏にネジがあるところに気がつけば簡単に開けられます。

開いたところ

 この頃のWDCのHDDはロードアンロード方式のはずです。開けると、ちゃんトランプにヘッドが収まっています。

ランプロード

 ヘッドアームが2つでヘッドは2つ有ります。1プラッタ用のヘッド構成であることが確認できます。1プラッタ2面のHDDで有ることが確認できます。

ストッパ クランプ スピンドル

 プラッタを取り除くには、プラッタの留め具とヘッドのストッパを外す必要があります。

プラットを取り除いた状態

 プラッタを一枚取り除くとこんな調子です。ここまで分解しなくとも極数を調べられるのですが、今回もいつもと同じく完全にプラッタを外してみました。

電流源用実験電源 CCで動作している実験電源

 適度に回したときに引っかかりが出るようにスピンドルモータのコイルに定電流モードの実験電源から電源を流し込みます。電流は0.25Aほど流しました。

初期位置

 最初に引っかかりのある位置(赤矢印の所)を調べて印をつけます。

2番目の位置 3番目の位置 4番目の位置

 同じ要領で引っかかりのある位置を探していきます。1回転で最初の位置を含めて4カ所見つかりました。

 引っかかりのある位置の2倍が極数なので8極のモータと言うことになります。

3−2−4.回転速度の計算

 3−2−2から3−2−3の結果を使って、3−2−1の式で回転速度を計算します。

f[Hz]
駆動周波数 333〜335[Hz=1/秒]
p
極数 8[1/回転]
N[rpm] = 60[rpm/rps]*2*333〜335[Hz]/8[1/r] = 4995〜5025rpm
N[rpm]
回転速度 4,995〜5,025[回転/分]

 上記のように、約5,000rpmと言うことになります。


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4.考察

4−1.回転速度についての結論

 上記3−2−2.において回転速度が可変されているかどうかを調べて、結果そのような様子は見られませんでした。3−1−4と3−2−4共に回転速度は約5,000rpmとの結論を得ました。よって、手元にあったこのHDD(WD5000AADS-00S9B0)は2つの測定方法で約5,000rpmと推定されますので、約5,000rpm固定の回転速度のHDDであると判断するのが妥当と考えます。

4−2.ベンチマークについて

 WD5000AADS-00S9B0は、今日現在(2009/07/23 Thu)3.5inch HDDの中でプラッタあたり容量が最高の500Gbyte/プラッタのシリーズに属します。今までは、プラッタあたり容量が上がれば転送速度が向上してきました。このため、この高密度HDDの性能には期待しました。

 さらに、その高密度シリーズの中で、WD5000AADS-00S9B0はヘッド数が少ない1プラッタ機です。ヘッド数が少なく軽いヘッド周りの構成は、位置合わせに有利のはずです。当然、ある程度のランダムアクセス性能も期待出来ると考えました。

 しかし、回転速度が5,000rpmであり、これでいくぶん性能的に不利になります。それでも、5,400rpm機に比べると-7.4%の低下に過ぎず、7,200rpm機に比べても-30.6%の低下にしか過ぎません。プラッタ容量が1.5倍になっているのですから、それを補うくらいのメリットが出ても良い気もします。

 しかし、ベンチマークを取ると、低速ディスクのイメージ通りの結果になってしまっています。特に、512Kbyteブロックのランダムアクセス性能の低下は大きく目立ちます。HD Tuneの結果も、アクセスタイムの増加とそのばらつきの増加とが現れており、性能低下を示しています。

WD5000AADS-00S9B0
Test Size[ MB ] 501005001000
Sequential Read[MB/s] 118.102 105.460 101.136 97.751
Sequential Write[MB/s] 88.440 89.571 98.319 96.129
Random Read 512KB[MB/s] 36.725 28.002 24.054 23.313
Random Write 512KB[MB/s] 116.680 88.101 69.509 63.999
Random Read 4KB[MB/s] 0.990 0.692 0.540 0.501
Random Write 4KB[MB/s] 2.097 1.821 1.466 1.411
Firmware : 01.01A01
Date     : 2009/07/19
IF       : 玄人志向 SATA2RAID-PCIX (Silicon Image SiI3124)
Format   : NTFS
BM時IF   : Generation 2:3.0Gbit/sec(SATA300接続)
Benchmark: CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
HD Tune
HD Tune: WDC WD5000AADS-00S9B0 Benchmark
Transfer Rate Minimum : 40.2 MB/sec
Transfer Rate Maximum : 102.1 MB/sec
Transfer Rate Average : 74.4 MB/sec
Access Time           : 18.0 ms
Burst Rate            : 131.4 MB/sec
CPU Usage             : 12.5%

Firmware : 01.01A01
Date     : 2009/07/19
IF       : 玄人志向 SATA2RAID-PCIX (Silicon Image SiI3124)
Format   : NTFS
BM時IF   : Generation 2:3.0Gbit/sec(SATA300接続)

 プラッタ容量が1.5倍のメリットは、転送速度やアクセスタイムの部分では、どう見ても出ていません。どうも、この500Gbyte/プラッタの記録密度の向上は、今までのように線記録密度の向上が主な要因ではなくトラック記録密度の向上が主な要因となっているように思います。

 線記録密度が向上しなければシーケンシャルアクセスでの転送速度はあまり向上しません。また、トラック記録密度が上がればトラック数が必然的に増えることとなり、シーク回数が増えます。トラック記録密度が増えることは、トラック間隔が縮むことになり位置決めの精度も要求されるようになってしまいます。今までの位置決めと同じ技術の延長線上ではそろそろ高速にアクセスすることは難しい領域に入っている物と考えます。

 それでも、あえて、トラック密度を上げてきたのは、垂直記録方式で線記録密度を上げると、記録信号間の結合か強くなり、書き換えにくくなってくることに有るのではないかと推測します。この現象は磁性体の保持力が高まる低温で顕著になってくるはずです。そろそろ書き換え用のヘッドの発生する磁力が、通常の室温で垂直記録の記録信号を安定して書き換えるのに必要な強さを保ちにくくなっているのではないでしょうか。

 SegateのBarracude 7200.11(ST3500320AS)もつい最近、低い温度になると書き込み性能が極端に低下するようなことが起きています。WDCが250Gbyte/プラッタあたりから高密度のHDDはまず低速な物、特に回転速度を公表しないものから出すようになってきたいるのもこの関係のように思います。

 WDCは低い温度での問題等を避けるために線記録密度を上げずにトラック記録密度を上げてきたのではないかと考えます。(2009/07/24 Fri追記)

 結果として、低消費電力で外付けHDDや倉庫用、特に音楽や動画の保存など、1ファイルが大きい物にに適した特性を強めてきているようです。

 このような特性ですと、もう少しシリンダ容量が増えた方がシーク数が減るので、3アーム4ヘッドのヘッドセットで2プラッタぐらいが良いバランスかなという気がします。

4−3.5,400rpmの回転速度以外が見つかったことについて

 今回、WDC Caviar Greenシリーズで、5,400rpmの回転速度以外のHDDが見つかりました。

 これは、当初言われた、5,400rpm〜7,200rpmのいずれかで固定という枠組みが崩れたことを意味します。出回っているCaviar Greenシリーズの回転速度はもっと広い範囲に分布しているかも知れません。

 今回、3−1.振動解析による方法でPCを持っている人であれば、安価なコンタクトマイクを別途購入するだけで、後はそろいやすい物で計測する方法を提案しました。これで、多くの人が回転速度を検証しやすくなったのではないかと考えます。性能についての意見を交換する際に回転速度が違う物で比べても話が合いませんので、Caviar Greenシリーズの場合、まず回転速度を推定すると、すれ違いが小さくなるように思います。

4−4.その他

 RMAの代理店ごとの相違に起因する話などは、某巨大匿名掲示板で何度か話題になっていますが、回転速度が外箱に記述してある値と異なるというのは話題になったのを見かけたことがありません。

外箱ラベル

 可変回転速度か固定回転速度かが話題になったときでも、店頭ポップや店員説明が違っているという話はあっても、製品外箱の表記が異なると言う話題を見かけたことはありませんでした。

 RMAのように、元製品にあまり関係のない話題で何度も騒ぎになるのですから、製品そのものの物理的特性が異なることになる回転速度が外箱に記述してある値と異なると言うのはもっと話題になりそうな物ですが、そうはなっていないようです。

 不思議です。


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